2020年1月9日~3月8日
Bunkamura ザ・ミュージアム
※2/28(金)以降の全日程を中止

大学時代、写真部に所属していたのでいろんな作品を見たり撮ったりしていた。正直にいうと大学時代に見た写真家達の作品は今、苦手なものが多い。当時よく目にしていた写真はヒリヒリした感じの作品が多く、若者にはそれが刺激的で良かったのかもしれない。

いろんなジャンルの写真があるけれど私は写真とは「写し過ぎてしまう」と思っているので適度な距離があったほうがいいなと感じる。普段から色々見すぎてる中で、写しすぎている写真はちょっと疲れるな、というのが今の気分である

ソールライターの写真は「思い出」のようだ。

写真に映るものと自分の間には圧倒的な距離がある。全く知らない誰かやどこか。一瞬目をやった先に偶然見た景色だったり、雪が降り頻る中にいる誰かだったり、雨の日、傘の中から見る景色だったり。

一度は見たことがあるような景色を覗き見をするような構図で、被写体と少し距離を取って写真に収められている。そして絵描きでもあった彼のカラーの写真の配色は美しいけれど淡く、夢の中の景色のようでもある。そのせいか、自分のなかの遠い記憶のように懐かしく、まるで「思い出」のように感じる。

未知のパンデミックのニュースが連日流れて不穏な空気と、心なしか人が少ない渋谷の雰囲気に明るくは無い気分でBunkamuraに着いたけれど、全て見終わる頃にはソールライターの世界に没頭してゆっくり柔らかい気分になって、例えるなら布団乾燥機で温めてふかふかになった布団の気分だった。(布団の気分とは。)